XR250Rで低速走行中,これまでに何度かフラフラと真っ直ぐ走らないことがありました。ステアリングの動きが渋く,セルフステアリングが効きにくい状態と思われます。
このバイクはドライサンプで,フレームのステアリングヘッド部分がオイルタンクを兼ねる構造となっています。そのため,ステアリングステムベアリングはオイルにより常に高温にさらされた状態となり,グリスの劣化が加速したとものと考えられます。
ステアリングステムのメンテのため,以下のものを準備しました。
・ワコーズのウレア系高温・高荷重用多目的グリース
(ハイマルチグリース HMG-U 2号)
・デイトナのスライド式リングスパナ(Φ35~Φ70用 品番70409)
・KTCの六角ソケット30(12.7sq. B4-30)
ステアリングまわりをバラしていきます。
ステアリングステムナットを二面幅30の六角ソケットと12.7sq.のスピンナハンドルで緩めます。
ところが,10kg-mで締まっているナット故,簡単には緩みません。0.6〜0.8m程度のロングスピンナハンドルが市販されていますが高価なため,ホームセンターで1mの鉄パイプを買ってきました。スピンナハンドルに鉄パイプを差し込み,「エイッ」と力を入れると「パキッ」と緩みました。
安全上,高トルクで締め付けられてるステアリングステムナット(10kg-m)とFホイールのアクスルシャフト(7.5kg-m)はサイドスタンドを掛けた状態で,それ以降はスタンドでフロントを上げた状態で作業を行います。
Fホイール,Fフォークを取り外します。
ステアリングトップスレッドをリングスパナで緩め,ステアリングステムを抜き取ります。ここはトルク管理がシビアなので,緩める前にナットの角度が判るようにマーキングしておきます。
ベアリングはグリスと錆が混じって乾いたような状態ですが,ベアリング自体は思ったより錆びていません。
アッパアウタレースも同様の状態。
ロアアウタレースは当りが強いように見えます。本当は取替えたかったのですが,作業が大変なのと触手で問題無かったので,今回はそのまま使用します。
ベアリングとレースの汚れをウェスで拭き取り,固めのハイマルチグリースをたっぷりと塗り込みます。
ステムを元に戻し,ステアリングトップスレッドをリングスパナでマーキングしていた位置まで締め,スムースに動きガタが無いことを確認します。
その後,分解と逆の手順で組み立てます。
今回使用した工具類